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子宮頸がん ワクチンで予防実現 高額費用…公費助成求める声(産経新聞)

 子宮頸(けい)がんを予防するワクチンが昨年末、日本でも接種できるようになった。10歳以上の女性なら誰でも接種できるが、5万円前後の費用がかかるのが課題。そのため医療関係者らを中心に、特にワクチンの効果が高いとされる中学生相当を対象とした公費助成を求める声が高まっている。(佐藤好美、津川綾子)

 ◆神様の贈り物

 「ワクチンは女性への神様からの贈り物。子宮頸がんは、女性にとって一生大きな傷を残す。1人でも多く接種して」

 今月2日、国立がんセンター中央病院(東京都中央区)で開かれた子宮頸がんに関した会見の場で、かつてこの病に苦しんだ女優の仁科亜季子さんが強く訴えた。

 子宮頸がん対策は最近、大きく前進した。厚生労働省は昨年、「子宮頸がんワクチン」を初めて承認。同12月から全国で接種が始まり、がんで唯一、予防が可能になった。

 子宮頸がんは年間1万人以上が新たに罹患(りかん)し、毎年約3500人が命を落としているといわれる。子宮頸部にヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が続くと、一部ががん化するが、ワクチンはHPV感染を防ぐことで、がん発生をもとから断つ。

 現在、接種できるのは英系製薬会社、グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」。子宮頸がんの原因の7割前後を占めるとされる2種類のHPVに免疫がつき、半年間に3回の接種が必要。免疫は20年以上続くと推定される。

 ◆命の値段に差

 どんな人が、どこでワクチンを接種すればよいのか。

 HPVは性行為によって感染が広がるが、「性行為を始める前の女性への接種で7割、成人の場合も6割ががんを予防できる」と自治医科大学付属さいたま医療センターの今野良教授。日本小児科学会など3学会は11~14歳の中学生相当の女子を中心に、45歳までの女性への接種を勧めている。成人にも有効で、現在、全国約9千カ所の医療機関で接種できる。

 課題は3回の接種で5万円程度といわれる高額な費用だ。東京都杉並区や埼玉県志木市など自治体ごとに、22年度から小学6年生や中学生の接種費用を公費でまかない無料にする動きがある。しかし、「そこに住んでいない人はどうなるのか。命の値段に差があっていいのか」「愛媛がんサポートおれんじの会」の松本陽子さん)などの声が高い。

 今月2日、国立がんセンター中央病院の土屋了介病院長らが、11~14歳を対象に国による公費助成法案化を実現しようと、署名の受け付けをウェブサイト(hpv.umin.jp)やファクス(03・6850・0005)で始めた。

 「個人の負担を軽減し、ワクチンギャップを解消するには政府の公費助成が必要」と土屋病院長。土屋病院長らは今月3日、大妻嵐山中学校(埼玉県嵐山町)を訪れ、ワクチン接種を呼びかけるなど今後も女子中学生らへの啓発活動も行う予定だ。

                   ◇

 ■費用対効果が高い無料接種

 子宮頸がんワクチンは高価なワクチンだ。しかし、欧米などでは接種にかかる費用よりも利益が大きいとの経済分析から、公費助成が行われているという。自治医科大学付属さいたま医療センターの今野良教授は、日本でも子宮頸がんワクチンの無料接種は費用対効果が高いと分析する。

 仮に12歳の全女児にワクチンを3回接種した場合、ワクチンにかかる費用は約210億円。これに対し、治療費の節減効果は約170億円。さらに、治療による仕事の中断や死亡による労働損失約230億円の計約400億円を抑制でき、社会全体で約190億円の費用削減が期待できるという。

 また、10~45歳の女性全員に接種した場合も同様に約430億円の費用削減が見込める。

 今野教授は「新技術の導入で、医療には余計に費用がかかるようになっている。しかし、それによって国民の生活の質が上がるなどの効果が高ければ、費用負担も納得されるはず」と指摘する。

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